固定資産⑤ 修繕費?資本的支出?
固定資産の修繕費用はどのように処理をすればよいでしょうか。支出をしたときに全額を修繕費として費用処理をしてもよいのでしょうか。
法人税法上の取り扱いは、資本的支出と修繕費(収益的支出)に区分されます。
資本的支出とされた場合は固定資産の取得原価に算入され、その資産の耐用年数に応じて減価償却をしていきます。これに対し、修繕費とされた場合は支出時に費用・原価に計上されます。
資本的支出、修繕費とするのはどのような場合でしょうか。
固定資産を修理・改良するための費用で、その費用の支出により固定資産の価値が増加したり、使用できる期間が延びると認められた場合は資本的支出となります。
これに対して、修繕費とする場合は固定資産の維持管理または原状回復に要する費用と認められた場合です。
法人税法では資本的支出とする場合、修繕費とする場合の例示がされています。
詳しくは法人税基本通達7-8-1(資本的支出)、7-8-2(修繕費)を参照ください。
具体的には資本的支出の例示としては、
①建物の避難階段の取付け等物理的に付加した部分に係る費用の額
②用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した費用の額
③機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合のその取替えに要した費用の額のうち、通常の取替えの場合に要すると認められる費用の額を超える部分の金額、の3点です。
修繕費の例示としては、
①建物の移えい又は解体移築の費用の額
②機械装置の移設に要した費用の額
③地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復するために行う地盛りに要した費用の額
④地盤沈下による海水等の浸水害を防ぐ床上げ、地上げ又は移設に要した費用の額
⑤現に使用している土地の水はけを良くする等のために行う砂利、砕石等の敷設に要した費用の額、の5点です。
その他に少額または周期の短い費用は修繕費とすることが認められています。
国税庁のホームページでは修繕費と資本的支出の区分(フロー図)が掲載されているので参照してみてください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1379.htm