選択と集中
今回は経営戦略の一つとして選択と集中を考えていきます。
選択と集中とは、複数展開している事業を中核事業に資源を集中させることをいいます。実践するメリットとして、その名の通り中核事業に専念することで、技術革新につながる機会が生まれます。また多数の事業を抱えていると、業績のよい事業と悪い事業がでてきます。その際、赤字部門を見極めることで、事業効率が上がりコストカットにつながる点があります。一方反対の考え方として、多角化戦略がありこちらは様々な事業を行って、利益の向上を狙うやり方です。複数の事業を組み合わせることで、生まれるシナジー、リスクの軽減につながります。他方、コスト増の可能性が高く企業の状況に合わせて、使い分けることが重要です。
もともとは経営学で有名なピータードラッカーが提唱した戦略論で、アメリカの半導体メーカーゼネラルエレクトリック社(GE)が取り入れ、注目されることになりました。GEのCEOジャック・ウェルチは1000ほどあった事業を減らし、売却するかあるいは辞めるなどで事業方針をなるべく一本に集中させました。
Appleの例をみてみますと、CEOのジョブズは製品の取捨選択をし、自社の得意の分野に集中した結果iphoneやipadといった製品が世に出ることになりました。製品の外観をみても不要なデザインや機能がなく、非常にシンプルになっていますが、スマートフォンとしては無数の機能があります。
日本企業でも多くの企業が考えを取り入れることとなり、具体的な例として日立製作所をあげます。リーマンショックの影響を受け、日立製作所は7800億円の赤字を出したことをきっかけに選択と集中に踏み切りました。具体的な方法として、コストの見直しや低収益事業の撤退売却、製品別体制の責任と権限の明確化です。
低収益事業の対象になっていた事業の自動車機器関連は構造を見直し再建、HDD部門は売却、薄型テレビ部門は自社生産から撤退し積極的に改革していきました。社内構造では部門別に分かれていましたが、カンパニー制を導入することで一つの法人とし、透明性、迅速な意思決定を図ることに成功しました。選択と集中を実施した結果、総合家電メーカーからIT分析によるデータの活用、ソフトウェア開発の強化を行い、社会インフラを支える企業へと方向性を変えることに成功しました。
上記のような考え方は、企業の管理部門でも取り入れることができ、人材の育成する手間が省けることや専門知識向上が不要な分、必要なリソースをコア事業に投資することができます。懸念点として、中核事業がうまくいかない場合のリスク分散やシナジー効果が生まれないこと、長期的な視点で考えると部内での調和が不安定となる場合があります。
選択と集中の戦略は自社の強みとなるような事業に集中するため、リスクヘッジが効かず、きちんと時間をかけ、判断できなければなりません。会計士や税理士を始めとする経理の専門家として、数々のコンサルティングやアウトソーシングに裏付けされたノウハウがある弊社BPOをご検討いただくことで、そういったリスクを避けることが可能ですし、面倒な業務や複雑な知識の取得が不要のためになります。ぜひお気軽にお問い合わせください。