中小法人と中小企業者等ってどう違う?

税制上の優遇措置で中小企業を対象としているものは多数あります。
その中で対象が「中小法人」や「中小企業者等」に限定されているものがあります。
どう違うのでしょうか?

今回はその違いについてご紹介します。

1-1 中小法人
「中小法人」とは、各事業年度終了時において資本金の額が1億円以下であるもの又は資本等を有しないものをいいます。
ただし、以下の法人は除きます。
① 相互会社
➁ 大法人(資本金又は出資金の額もしくは出資金の額が5億円以上の法人)、相互会社等の100%子会社
③ 完全支配関係(100%出資関係)にある複数の大法人に発行済株式等の全部を保有されている法人
④ 投資法人
⑤ 特定目的会社
⑥ 受託法人

1-2 中小法人向けの税制優遇措置
中小法人を対象とした税制上の優遇措置として以下のものがあります。詳細については、別のページでご紹介させていただきます。

1.軽減税率所得800万円以下の部分について、税率19%。さらに、時限的に税率15%(租特法)
2.交際費800万円までの全額損金算入または接待飲食費の50%の損金算入の選択適用
3.欠損金関係①欠損金繰越控除について、所得金額の100%まで損金算入可
 ➁欠損金繰戻還付(1年間)が可
4.留保金課税特定同族会社に対して課される留保金課税の適用除外
5.貸倒引当金貸倒引当金を一定の限度額の範囲内で損金算入可

2 中小企業者等
「中小企業者等」とは、次の①から④のいずれかに該当するものとされています。
①資本金(出資金)の額が1億円以下の法人
➁資本(出資)を有しない法人のうち、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
ただし、上記に該当する場合でも、以下の法人は除かれます。
・同一の「大規模法人」に発行済株式の1/2以上を保有されている法人
・複数の「大規模法人」に発行済株式の2/3以上を保有されている法人
・前3事業年度の所得金額の平均額が15億円を超える法人
※「大規模法人」とは以下の法人をいいます。
・資本金(出資金)の額が1億円を超える法人、
・資本(出資)を有しない法人のうち、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
・「大法人」の100%子法人
・100%グループ内の複数の「大法人」に発行済株式または出資の全部を保有されている法人
※「大法人」とは、資本金の額もしくは出資金の額が5億円以上である法人、相互会社もしくは外国相互会社(常時使用従業員の数が1,000人超の法人に限る)または受託法人をいいます。
③常時雇用する従業員数が1,000人以下の個人事業主
④協同組合等(中小企業等協同組合、出資組合である商工組合等)

2-2 中小企業者等向けの税制優遇措置
中小企業者等を対象とした税制上の優遇措置として以下のものがあります。詳細については、別のページでご紹介させていただきます。
①中小企業経営強化税制
➁中小企業投資促進税制
少額減価償却資産の特例
④中小企業防災・減災投資促進税制
⑤中小企業技術基盤強化税制
⑥中小企業向け所得拡大促進税制

3 まとめ
中小企業といっても中小法人と中小企業者等では適用が受けられる制度の内容が異なります。
親会社や他の法人との関係で適用の可否の判定が異なることがあります。
特に複数の会社がある企業グループでは法人ごとに税務上の取り扱いを整理されておかれることをお勧めします。