現在価値、将来価値
今回はお金の値段について考えてみます。
現在価値、将来価値
今100万円を受け取れるのと、1年後に100万円を受け取れる場合では
どちらのほうが価値はあると感じるでしょうか。なんとなく今すぐ受け取れるほうが価値は高いと感じるかと思います。こちらを実際に数字に落とし込んでみます。
現在価値
金利5%とすると、1年後に受け取れる100万円の現在の価値は
100万/1.05=95.23万円
将来価値
同じく金利5%とすると、現在受け取れる100万円の1年後の値段は
100万円×1.05=105万円
初めの質問の回答として、現在100万受け取れる状況と、一年後に100万円受け取れる状況では、1年後の100万円は現在価値に換算すると95万になるので、将来受け取る100万円は現在受取る100万円に比べて、損していることになります。
このように会計や投資の世界では、貨幣の時間価値を考慮することがあります。
その際、銀行の金利などを利用して考えます。
簿記2級レベルですと、現在価値について考える機会があまりないと思いますが、高度な会計処理になると、時間価値を考慮して処理する場面は多くあります。
・退職給付、年金、資産除去債務、減損など
またお金の価値を考え、選択肢を損得で比較が出来ることは日常生活でも生かせるため、ファイナンスの考え方を持っておくとよいと思います。
別の観点から考えてみます。
会社の値段はいくらか考えたことはあるでしょうか。M&Aの際や投資家が投資を行う際には、投資先の会社の値段を検討します。会社の値段を決める考えかたはいくつかありますが、主に利用される3種類をざっくり紹介します。
・マーケットアプローチ
・コストアプローチ
・インカムアプローチ
マーケットアプローチとは、同業種の競合他社など類似している企業をもとに自社の価値を評価する考え方です。上場している類似競合企業の利益やEBITと株価の比率を参考にしたり、過去のM&A取引事例を基にして判断します。
コストアプローチとは、貸借対照表の純資産の金額を指標とし評価する方法です。
一目で数値が確認できるため、非常に分かりやすい一方、最初にご紹介した時間価値の考え方が考慮されていない、清算価値に重きを置くため、将来の価値を反映していない等のデメリットも大きいので、実務上使用される場面は限定的です。
インカムアプローチが、会社の値段を決める際に、一番ポピュラーな考え方になります。中でも、DCF法という評価方法に、先程の時間価値の考え方が適用されます。DCF法というのは一言で言うと、将来に渡って対象会社が稼ぐと予想されるお金(「フリー・キャッシュ・フロー」と言います)を現在価値に割り引いて計算する方法です。
DCF法では使用する割引率を加重平均資本コスト(WACC)と言います。これは、借入にかかるコスト(負債コスト)と資本調達にかかるコスト(株主資本コスト)を加重平均したものです。負債コストには主に、長期社債や借入金の金利を利用し、株主資本のコストの算定には、CAPMという手法が使われます。WACCは企業価値評価だけではなく、設備投資の判断の際にも使われます。
DCF法=フリー・キャッシュ・フロー÷WACC
上記は、企業の成長がないと仮定しての計算式になります。成長過程の企業であればサステイナブル成長率を加味したり、企業は永久に継続する前提でターミナルバリューを加味したりします。
実務上は、フリー・キャッシュ・フローやWACC、CAPM、ターミナルバリューの算定には様々な論点がありますが、それはまた別の機会でご紹介いたします。
今回のブログは、これで以上となります。
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